研修医実習レポート

沖縄赤十字病院
研修医

名城 政俊

実習期間

2020年2月3日〜2020年2月14日

私は地域医療実習として、はいさいクリニックで2週間、在宅医療を学ばせていただきました。いろいろ感じることが多く、密度の濃い2週間を過ごさせていただきました。今回は感想を大きく分けて三つ、話させていただきたいと思います。
まず一つ目は在宅医療そのものにたいする驚きです。これまで僕は総合病院での勤務が主でした。そこでは受診しに来た、もしくは救急車で搬送された患者さんを総合病院で迎え入れ、診察するという形をとります。在宅医療は全くの逆で、こちらが患者さんの家、生活している場に行き、診察するという形になります。頭ではもちろんわかっていたのですが、実際に同行させていただくととても感じることが多くありました。やはり生活の場に行くと患者さんの普段の生活状態が見えてきます。どのような場所、家に住んでいて、何人暮らしで、普段ご飯はこういったものを食べていて、趣味はこうで…と病院では見えにくいものが鮮明に見えてきました。また同時に感じたことが、この生活の場に入り込む、ということによって医療者として介入できる幅がかなり広がる、ということです。病院からは見えないものが見え、手が届かないところに届くというのは在宅医療の大きなメリットの一つだと思います。
次に二つ目です。それは在宅医療によって提供できる医療の幅の広さです。私は在宅医療とは「医療サービスはあまり届かない代わりに自宅で過ごせる医療」だと思っていました。しかしいざ実習が始まると、多くの驚きがありました。多様な手技、抗生剤、エコーなど入院下でしか行えないと思っていたような手技、治療が自宅で多く行われていました。明らかに入院適応であろう患者さんが、自宅で治療を受けながら元気に過ごされていて、在宅医療の可能性を実感することができました。また僕のこれまでの認識は誤ったものであり、在宅医療でも経験豊富な医師、優秀なスタッフがいれば総合病院とほとんど遜色のない医療を提供でき得ると感じました。また在宅医療で診られている患者さんは病院にあまり行きたくないとおっしゃる方が多く、入院もしたくないといった患者さんに対し、上記のような医療が行えることは在宅医療にしかできないことであり、担っている大きな役割であると感じました。
最後は患者さんと、医師、医療スタッフとのかかわりの濃さです。在宅医療では主治医となった患者さんに何か健康上の問題が起こったとき、なにか聞きたいことができたとき、また最後のお看取りまで、責任をもって対応していました。また相手の生活の場に行くということもあり、在宅医療は患者さんの生活の中の一部であり、地域医療にはなくてはならない存在であると実感しました。
今回2週間とても充実した実習を行うことができました。とても教育的で、情熱を持った石田先生を始めとしたはいさいクリニックのスタッフの皆様、また快く迎え入れていただいた患者さんやそのご家族のおかげです。貴重な経験を本当にありがとうございました。