研修医実習レポート


 

沖縄赤十字病院
研修医

柳田 明希

実習期間

2017年11月1日~2017年11月30日

今回1ヶ月間という短い期間ではありましたが、在宅医療に携わることで実際どのような診療が行われているのか、在宅医療を行うには何が必要なのか、また在宅医療の必要性について学ぶことができました。
研修前の私の在宅医療のイメージは、‘イコール終末期医療’でした。老衰や進行癌患者の看取り目的で導入された症例もありましたが、認知機能低下や交通手段の問題等で通院困難となった患者さんの健康管理目的で導入された症例も少なくなく、重症度も軽症の方から重症の方まで様々でした。また、治療内容も抗生剤の点滴、胸腔や腹腔穿刺、胃瘻交換、膀胱瘻交換や人工呼吸器管理まで、医療者側の技術と設備を整えることができれば、幅広く対応できると感じました。
患者さんの自宅や、施設を訪問し、在宅医療には環境整備が不可欠だと感じました。例えば、介護ベッド、HOTや吸引器、車いすといった備品やバリアフリー化が必要となってきます。研修中に退院前カンファレンスや、定期のケアカンファレンスにも参加させて頂きました。患者さんの介護度や病状に合わせて、多職種で話し合うことで、在宅医療が形成されていく過程を知ることができました。ケアカンファレンスだけでなく、普段の診療上でも、訪問看護師、ケアマネージャー、PT/OT、施設職員、ご家族、連携病院職員等多くの職種・機関と連携しており、病院診療よりもよりチーム医療が重要だと感じました。
近年は、高齢化社会に伴い急性期医療から療養や緩和型への医療への需要が増えており、今後もさらに加速していくと考えられます。また、医学的な面だけでなく患者やそのご家族の考えや希望する生き方を尊重する医療を求められる時代になってきていると感じます。それらの医療に対応するために在宅医療の役割は重要になってくると思います。また、入院中、経口摂取に難渋していたが、施設入所と訪問診療に切り替えたことで、経口摂取可能となり結果として全身状態も改善した事例を経験し、医学的治療が全てではないと学びました。
より患者さんやそのご家族のパーソナルな部分と接する分、信頼関係を築く上で難しさもありますが、楽しさも感じることができ、貴重な経験ができました。医療者側にも一般の方にもまだまだ在宅医療の概念は浸透していないと考えられます。今後の診療の中で、選択肢の一つとして在宅医療を患者さんへ提示していければと思います。