研修医実習レポート

沖縄赤十字病院
研修医

岸本 恵史

実習期間

2020年5月7日〜2020年5月29日

私は「在宅医療」についてほとんど知識と経験が無かったため、実際にどの様な医療なのか非常に興味があり、「はいさいクリニック」で約1ヶ月間実習をさせて頂きました。
まず最初に、(ICUではよく見る光景だが)高カロリー輸液を在宅で行っていた事に衝撃を受けました。その他、シリンジポンプを使った点滴や人工呼吸器でご家族さんが呼吸管理を在宅で行っている事に驚きました。病院でしか出来ないと思っていた医療が在宅で行われているという事実を知り、在宅医療の大きな可能性を感じました。
病院での医療と在宅医療とでは何が違うのかを考えた時、在宅では食事に長い時間をかける事が出来たり、好きな時に眠れたり、また住み慣れた環境で過ごす事でせん妄が無くなったり、何より「ご家族さんから毎日愛を感じながら過ごすことが出来る」という面で多くの患者さんにとって、病院よりもいい医療が受けられると感じました。病院では毎日食事の時間や就寝時間は定時となっているためその時間内に十分に食事が取れない事や、また眠れない場合とせん妄の場合など、薬を投与されてしまいその後病態や認知症が悪化したりする事も総合病院で勤務しているとしばしば耳にします。今回の在宅訪問でお会いした多くの患者様やご家族の方から、「入院していた時より在宅で療養してからの方が病状や認知症が良くなっている」という発言を聴き、「病院での医療の限界」を痛感した事が多くありました。
次に今回の経験を通して在宅医に求められるものは、「Common Diseaseの診断やそれに対する治療など幅広い知識と経験」、「多くのbackgroundを持った患者様と接するため、医学だけでなく様々な物や現象、情勢に興味を持ち、博識である事」だと感じました。その他、患者様の身体と心の状態の変化にいち早く気付けるためにも多職種との情報交換や連携がとても大事であると感じました。
この1ヶ月の在宅医療で得た知識や経験、そして感じた事は、これからの私の医者人生の財産であり、今後どの道に進んでも医療を提供する上で参考となり、糧となるものばかりでした。その中で患者様との接し方や姿勢に関して、石田先生は患者さんに対して「常に同じ目線」で話されていて、患者様を介護する家族の悩みにも傾聴され、患者様を取り巻く周りの環境や家族との関係性も考慮して、診察と説明をされていた事がとても印象的でした。
最後になりますが、院長である石田先生はじめ岡本先生、看護師及び事務の皆様、約1ヶ月と短い間でしたが、私が「はいさいクリニック」で研修する事を暖かく迎えて下さり、本当にありがとうございました。そして、一人の医師として突然の訪問ではあるものの、暖かく迎えて下さいました訪問先の患者様と施設のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。